読書記録『ネットで生保を売ろう』

 「ネットで生保を売ろう!」 岩瀬大輔
 初めて岩瀬さんを知ったのはニコ生で行われた医薬品のネット販売の扱い範囲についての公聴会でした。そこでは規制緩和を求めるネット販売業者と、対面販売で安全性を求める薬剤師界という改革と保守のわかりやすい対立がありました。ネット販売は国民にとって有益であるがネットでは薬のリスクは伝えきれないという話しのまま議論は平行線をたどり堂々巡りでした。
 そのなかで有識者委員会のメンバーをして参加されていた岩瀬さんが「ネットで販売が安全か安全でないかではなく、どうすれば消費者に対して対面販売と同程度のリスク管理ができるのかを考えましょう。そのためにネット販売の課題を挙げ一つ一つ検証しましょう。そのための公聴会にしましょう。」(うろ覚えですが)とおっしゃいました。それにより業者と薬剤師会の言い合いになっていた会議はポジティブな方向へ動いていきました。
 冷静に全体を見つめ現在の状態が悪いということを判断することは第三者ならともかく当事者では難しいと思います。ましてそれに気づき会議を意味のある方向へもっていかれた発言をするなんて言わずもがなです。あの一言があったから次の会議へのそれぞれの課題がはっきりしたと感じました。
 本書にも「ブレイクスルーとなったのは市場セグメーションの考え方である。売れるか売れないかの議論は意味がない。(略)。」という文章がありました。
 本書は岩瀬さんが副社長を務められているライフネット生命の立ち上げから現在に至るまでを爽快に書かれてあります。金融庁とのやりとり、資金調達、メンバー集め、そして今後の野心など見どころいっぱいです。加えて出口社長の意思の強さとユニークな行動も面白いです。
 司法試験に受かりMBAホルダーとう経歴でありながら、生保業界にベンチャーという形で乗り込んだネット販売を波にのせ、不可能と言われた就業保険をつくり、原価公開というタブーを犯して保険業界を高い志で変えいく様は読者の明日を、未来を変えるモチベーションになるのは間違いないと思います。あとこの本を読むとライフネット生命をなぜか応援したくなります!!それくらい愛着も感じました。(自分はまだ21の若造ですが・・(・・;)



ネットで生保を売ろう!

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